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June 21, 2006

ヒトケイバツレイ

 ここ数日,とある洋書を読んでいます。入手したのは留学中,欧米の研究の中では名の知られた存在で,何れの論稿も直・間接的に係っているので,参考にしようと出版社へ直接注文して取り寄せたものです。しかしいざ目を通そうとする度に,その表現の難しさにお手上げとなってしまい(単に集中力がないだけか),長らく傍らに置きっぱなしとなっていました。
 先日,準備中の論稿の参考として,その中の一論文を軽く流し読みしたら,従来日本で知られている研究とは異なる視点・枠組みで書かれているのに気付きました。その面白さに今更ながら気付かされ,それで取り掛かったという次第です。
 上記の「(表現の)難しさ」とは,単に学術論文によく見られるような英語表現・語彙の難しさということなのですが,今回扱っている論稿のような歴史系の場合,別の「難しい」側面を持っています。

 ある箇所に,以下のような表現がありました。

The upshot of this controversy was a compromise, reached in 1896, whereby the Imperial Diet passed the "Law concerning Laws and Regulations to be enforced in Taiwan"(hereafer abbreviated as LLR of Taiwan).

日清戦争の終結により,日本は台湾を領有することとなりました。その時日本の政界では,植民地に設置される支配機構の法的地位と帝国憲法との関係が一つの政治問題となっており,この論稿はそれを論じたものです(本文中の「controversy」(論争)がその「政治問題」のこと)。ここにある「Law~」は,直訳すれば「台湾で施行される法・規則に関する法」となります。実際には「台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律」(明治29年法律第63号)のことで,「法令」を「法律(laws)」「命令(regulations)」と訳しているところに,苦心がにじみ出ているようです。
 一般にこの類の専門用語は翻訳が難しく,かなり研究者泣かせな存在です。別の箇所で「The Taiwan Affair Bureau」のメンバーとして「Chef Cabinet Clerk」という肩書きの「Ito Miyoji」なる人物が登場しています。多少なりとも日本近代史を勉強された方なら,「Ito Miyoji」が伊藤博文の腹心「伊藤巳代治」(1857~1934)であることは容易に理解できるでしょう。しかしもし彼の経歴を知らなかったら,「Chef Cabinet Clerk」「The Taiwan Affair Bureau」の「正式名称」(「意味」ではない)は全く想像できません。つまりこの類のものを外国語で読む場合,単に外国語の意味だけに留まらず,その内容に関する予備知識も必要となってきます(ちなみにそれぞれ「書記官長」「台湾事務局」)。
 とある事例として「Ritsurei No.24, 1898, Hito Keibatsurei(Bandit Punishment Ordinance)」なる語。「ヒトケイバツレイ」?(「人」?),仮に日本語が併記されていても,漢字がない限り意味不明の場合もあります・・。ちなみに「ヒト」は「匪徒」,当時の治安関連文書で使用されていた「専門用語」の一つです(「明治31年律令第24号」のこと)。「律令」は,台湾で定められた法規を指すものです。

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June 13, 2006

안타까운 마음

 韓国の伝説的ロックバンド,「산울림」(サヌリム,「やまびこ」の意)が1977年12月に発表した曲。「じれったい気持ち」とでも訳せましょうか。デビューアルバムの2曲目に収録されていて,その1曲目がヒット曲「아니 벌써」です。

 「산울림」は김창완(金昌完,キム・チャンワン),김창훈(金昌勲,キム・チャンフン),김창익(金昌翼,キム・チャンイク)三兄弟によるバンドで,「韓国ロックの父」ともいうべき存在です。現在の韓国で彼らの存在はいわば「歴史的存在」(=「過去のモノ」)と化しつつありますが,その作品のクオリティは極めて高く,最近の「韓流」のようなシロモノとは正直,比べ物になりません(あくまで私見)。

 마치 뭐 할말 있는 것처럼
 가득히 호소하는 눈빛은
 날새면 지고 마는 달처럼
 아련히 멀어져 가버렸네

 안타까운 마음 잠깐 기다려 줘
 꼭해야 할말이 있는 것 같애요
 손에는 땀만 나 할말도 못하고
 가슴만 조이니 답답해

 돌아서 가버리는 그 모습
 미련의 꽃내음 만나는데
 멍청히 지켜 서서 보다간
 한숨쉬며 돌아서 간다네
 
 안타까운 마음 잠깐 기다려 줘
 꼭해야 할말이 있는 것 같애요
 손에는 땀만 나 할말도 못하고
 가슴만 조이니 답답해

 この曲,聞いていると,演奏や歌唱の面ではシロウト的な雰囲気を持っています。そして歌詞自体,一通り読んだだけでは何のことを言っているのか定かではありません。そもそも「別れ」なのか「出会い」なのか(あるいはそれ以外か)。「必ず言わなければならない言葉」とは何なのか。それこそ「답답해」(気がかりだ/もどかしい)です。
 しかし表題にある「じれったさ」とは,何か特定の内容や字句で示されるのではありません。歌が進むにつれ,メロディーは次第に少しづつテンポを上げていきます。それまで抑えられていた「じれったさ」が,何かの焦りによってにじみ出てくる雰囲気を現しているかのようです。つまりそれは何か分かりやすいタームで表されるような存在なのではなく,歌全体(歌自体),文脈全体によって初めて示されるものです。
 この曲を初め彼らの歌を考える時,やはり彼らの置かれていた時代的状況を無視することはできません。独裁政権末期である70年代末は,反体制運動とそれに対する弾圧の時代でした。支配体制(既存の価値観)に対する若い世代の反発と,社会に蔓延していた閉塞感の中では,「言いたいこと」(꼭해야 할말)があったとしても,言うことができません(할말도 못하고)。つまり,彼らが生きている「この時代」そのものが,「안타깝다」(哀れだ/いらいらする/じれったい)存在だったといえるでしょう。それを考えるとこの歌は,思った以上に奥が深いものとなります。

 私にとって,これを超えるコリアン・ミュージックは存在しません。

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June 12, 2006

地震

 今朝,中四国から九州にかけて地震がありました。私の住んでいるところでは「震度4」とのこと。
 研究室では,書架に立てかけてたモノ(色紙サイズの絵と,ドアに貼り付ける「오서오십시오」のプレート)が床に落下してました。最上段にある某段ボール箱(中身は資料)は手前に移動していて,書架の縁から2~3cmせり出してます。奥の壁側まで押し込んでいたものなので,振動で5cmほど手前に平行移動したのでしょう。落下したらアウトです。
 幸いにも人的な被害は一切なく,自宅でモノが2~3個倒れたり,落ちたりした程度です(浴槽の縁に置いてあった椅子が落下)。ただ,あの揺れは正直驚きました。ニュースでは「震度4」となってましたけど,あのような規模の揺れ今まで経験したことのないレベルでした(芸予地震の時は留学してたので経験なし)。 震度4であそこまでy揺れている(と感じてしまうくらい)なので,それ以上は当然もっとスゴいのでしょうね。それを考えると,「耐震構造捏造」というものの恐ろしさが分かってきます。

↓揺れた分,せり出した。
Img_0001

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June 05, 2006

MF

 昨晩から本日にかけては,まさに社会に衝撃を与えるニュースが続きました。秋田小1児童事件で容疑者逮捕(死体遺棄容疑)もさることながら,11時からの村上代表の記者会見。「インサイダー容疑認める」(自己の責任を完全受諾)だけでなく,「引退」まで表明してしまいました(あと,個別の投資家に直接謝罪して回るということも)。過失であれ意図であれ,検察側から突きつけられた容疑を認めてしまったゆえに,告発(と逮捕)はまず確定でしょう。今回の一連の「阪神騒動」は,ある意味で意外な形で「幕引き」となってしまいました。大阪(というか阪神タイガースファン)のほとんどの方は,今回の村上氏の撤退を歓迎しているようですが,しかしでは「阪急への統合」で納得できるのでしょうか。部外者ではありますが,今一度腑に落ちないのも正直な感想です。
 というのも,上記の記者会見の中で村上氏が言及していた,阪神の「経営再建」の件です。実際今日になって私は知ったのですが,村上氏が提案していた(とされる)「再建」の内容の中に,「京阪・近鉄との提携」が掲げられていました。村上ファンド側の経営陣参入の是非はともかくとしても,「営業路線が直接競合していない他社との提携」は決して無意味ではないように思われます。この構想の実現可能性は今後さらに詳細な検討が必要でしょうが,発想そのものは評価に値するのではないでしょうか。しかしこの案件,今回の「決着」により,永久に「お蔵入り」となってしまいした(完全並行する「阪神」~「京阪」の提携を,今後阪急がやるとは到底考えられない)。
 それにしても村上氏って,大阪出身なんだよね。他地方出身者ならいざ知らず,大阪出身なのに,何であそこまで強烈な拒否反応が出たんでしょ・・。 やっぱり「やり方」が問題だったのでしょうね。

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June 04, 2006

経営統合

 本日の新聞の第一面を飾ったのは「阪急・阪神経営統合」。昨年後半に表面化した村上ファンドの阪神経営支配と阪神球団の株式上場化に対し,いわば「対抗策」のような形として突如現れた話だっただけに,当初はその実現可能性に半ば半信半疑でした。しかし昨日あたりから,村上氏のLDに対するインサイダー疑惑が急に現れただけに,単に「経営統合」の時限だけには留まらないようです。
 既にニュースでも言及されているように,今回の阪急・阪神間の「経営統合」は持株会社間の「統合」であり,それぞれの鉄道会社自体が合併する訳ではないので,社名変更などは一切生じません(同一グループになるだけ)。ですので,甲子園行く電車がいきなりマルーン色にされたり,堺筋線(大阪市交)に「ジェットカー」(古い?)が乗込んできたりは,絶対にありません(分かる人には分かる‐笑)。
 ところで問題は,「経営統合」されるため,重複する事業が合理化・整理されるのではないか,という点です。ご存知のように阪急・阪神は梅田~神戸(三宮/元町)間で路線が平行しており,そのため沿線地域でのバス・不動産事業なども「重複」=「ライバル」関係にあるため,その可能性はゼロとは言えません。むしろ逆に,部門によっては当然手が付けられるでしょう。
 ただし一部に見られるような,鉄道部門での「整理」はまずもって,ほとんどありえないでしょう。そもそも路線が阪神間で重複するとはいっても,両者はJRを挟み全く別の地域(「別の世界」といってもいい(笑))を走っています。沿線人口もかなりの規模なので,今更「運転本数の合理化」や「営業規模の縮小・廃止」といったものは,今以上の利用客減を到来こそすれ,JRへの「益」としかならないものです(それくらいのことは経営側は熟知しているでしょう)。既に「スルっとKANSAI」の導入によって相互利用の利便化は図られている訳ですから,今後は重複区間外(例えば京都・大阪・和歌山方面への自社線,もしくはJR西以外の他社線)との利便性向上や,同区間を含めたサービス改善が図られていくことと思います。
 ちなみに,某鉄道評論家が「相互乗り入れ」を提唱していましたが,それってムリ(というか意味ナシ)では?? レール幅は同じ(1435m)でも,線路のつながっているのは神戸高速鉄道の部分だけだし,それぞれ車体寸法が違うような気が・・。

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